リースバックとは
リースバックとは、不動産売却後も自宅に住み続けることができるサービスのことです。
老後資金や事業資金などの調達のために、持ち家を売却し、買い主である業者(不動産会社)に家賃を支払うことで、いま住んでいる家に住み続けることができます。
リースバックの最大のメリットは、今住んでいる家に住み続けながら、まとまった資金を準備できるということです。
生活をする中で、どうしても資金が必要になる場合があります。
このような場合は、住宅を売却して住み替えるのが選択肢の1つですが、リースバックを利用すれば、家を売却したあとも同じ家に住み続けることができます。
物件の利用形態が所有から賃貸に変わるだけで、売却した後もライフスタイルの変化を最小限に抑えることができるのが魅力です。
リースバックで売却したあとの家賃は、基本的に「買取価格×期待利回り(6~8%)÷12ヵ月」で計算します。
例えば、買取価格が3000万円で期待利回りが6%の場合、家賃は15万円となります。
ただし、不動産会社によって計算方法は異なるので、あくまで目安と考えてください。
リースバックとリバースモーゲージの違い
リースバックとリバースモーゲージは、よく比較されます。
どちらも、持ち家を利用して、老後の資金調達ができる仕組みです。
ここでは、リースバックとリバースモーゲージの違いを紹介します。
なお、リバースモーゲージの詳細については、こちらの記事「知らなきゃヤバい、リバースモーゲージのメリット・デメリット」も参考にしてください。
売却か借金か
リースバックは「売却」と「賃貸」を組合せた不動産取引です。
持ち家を売却し、所有権が買い主である業者(不動産会社)になります。
持ち家を売却し所有権が移ることで、資金を一括で受け取れます。
その後は買い主と賃貸契約を結ぶことで賃貸として同じ家に住み続けることができます。
一方、リバースモーゲージは持ち家を担保にして銀行などの金融機関からお金を借りることができる融資制度です。
毎月利息分のみを返済し、利用者が亡くなったときにその家を売却して元本を返却します。
資金の受け取り方法
リースバックは、売却代金が一括で支払われます。
リバースモーゲージの借入金の受け取り方には以下の3種類があります。
- 一括で受け取る(契約時に融資限度額を一括で借入する方法)
- 定期的に一定金額を受け取る(年金のように毎月決まった金額を借入する方法)
- 契約金額の範囲内で必要なときに受け取る(融資限度額まで、必要に応じて自由に借入する方法)
所有権の移転のタイミング
リースバックは持ち家を売却するので、所有権が移転するタイミングは売却時点になります。
リバースモーゲージは契約時点では所有権は移転しませんが、所有者が亡くなったあとに売却することになります。
所有権が移転するタイミングは所有者が亡くなったあとになります。
資金使途に制限があるかないか
リースバックでは、得た資金の利用目的に制限はありません。
生活費としても、事業への投資にも使用することができます。
リバースモーゲージは、お金の使用用途に制限がある場合が多いです。
主な使用用途は老後の生活資金とされており、投資資金とすることはできないことが多いです。
支払うもの
リースバックでは、毎月支払うものは家賃のみです。
リバースモーゲージでは、毎月支払うのは借入金の利息のみで、元金は利用者が亡くなったあとに、自宅を売却して返済することになります。
中には、契約期間が定められているものもあります。
契約期間より長生きした場合、存命中でも元金を完済しなければなりません。
トラブルに注意
リースバックは、資金調達の方法としてメリットがあります。
一方で、トラブルに注意する必要もあります。
国土交通省のガイドブックによると、以下のようなトラブル事例が報告されています。
- 強引な勧誘で契約してしまい、後々解約を申し出たら高額な違約金を請求された
- 支払賃料の合計額が数年で売却価格を超えることに気づいた
- 市場での取引価格より著しく低額な代金で売却してしまった
- 当初思っていた話と実際の賃貸借条件が違い、住み続けられない
出典:国土交通省「住宅のリースバックに関するガイドブック」
このようなトラブルに巻き込まれないように、リースバックを利用する場合は以下のポイントを押さえて契約しましょう。
- 不動産会社、金融機関など複数の事業者に相談する
- 事業者の営業トークを鵜吞みにせず、契約内容(違約金が発生するかなど)をしっかりと確認する
- 毎月賃料を支払うことができるか、資金計画をたてる
- 自分が望む期間、本当に住み続けることができる契約なのか、更新・再契約の条件など契約書を確認する
なお、利用にあたって不安がある場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)などの専門家に相談するのもおすすめです。
FP相談については、こちらの記事「FP相談するときの注意点」を参考にしてください。